マツダの成功をみて、いま、海外の自動車メーカーが、女性だけの開発チ-ムを作り、新しい車作りに挑戦している。
さて、女性が開発した商品のいくつかを紹介したが、九O年のはじめにも同じようなことが試みられたが成功しなかった。
いまは、それがヒット商品に結びついていることが多い。
その理由は何なのだろうか。
九0年代になって日本の会社が、男性もふくめて社員全員の処遇制度を見直した。
成果主義などが導入されて、性差よりも仕事によって評価が決まるようになったことが大きいのではないだろうか。
つまり、女性を、分け隔でなく平等に-評価するしくみが導入されたことが大きいとおもわれる。
たとえば、上述のマツダでは、九六年にフォード社の傘下に入ったあと、女性をめぐる人事管理制度を大きく前進させている。
九九年にコース別人事管理制度を廃止、二OOO年には女性の職給や号を見直し、O三年には男女ともに性別に関係なく実力で評価する新しい人事評価制度を導入している。
題する記事で、正当な評価制度を用いた結果、業績がのびた会社を紹介している。
ニチレイは、九八年度にはじめて赤字に転落したことをきっかけとして、ビジネスモデルを根本的に変えた。
競争力を上げるために二OOO年に人事制度を刷新し、成果主義を導入した社内の公募制で女性の管理職を募った。
また、女性の採用も増やした結果、社員満足度調査で全体的に女性の満足度も高まり、全体の生産性も上がった。
さらに、女性の活用が評価され、SRI(社会的責任投資)の銘柄にも選ばれたという。
フォンと東日本など四社が合併した。
これを機会に人事管理制度を一新し、実力主義に徹した。
変わった。
仕事内容は明文化され、半期ごとの達成具合で評価される。
これによって、若手や女性の登用があいつぎ、会社が活性化された。
女性の活用が進んだ背景には、外資との提携といった外的な要因が働いたケ-スも少なくない。
グローパリゼーシヨンがもたらした数少ないメリットのひとつといえるかもしれない。
冒頭で紹介した朝日新聞の調査でも、一四%の企業は、女性を活用する理由として、「国際的に通用しない」からという理由を挙げているヒアリングをしてみると、海外駐在をへて海外で男女平等の職場の雰囲気を味わった管理職が、率先して女性の登用を進めているケ-スもある。
また外部のコンサルタントの存在なども浮かび上がってきた。
外資の影響だけではなく、日本人の意識が国際化していることも変化を後押ししている重要な要因となっている。
経済のグローパリゼーシヨンの過程の中で、性差別をしないことが会社に利益をもたらすという認識が生まれつつあるようにおもう。
とはいうものの、人口構造の変化が本当に氷河を解かすのかどうか、不透明な部分も多い。
大手中堅アパレルメーカーでは、三OOO人以上の従業員を抱えながら、女性の管理職は一五人。
すべて独身である。
不況でデザイナーなど専門性の高い部門は契約社員化が進んでいるともいわれる。
雇用形態の多様化によって生み出された雇用の不安定化の影響は、女性において大きい。
年齢別の女性の一用者比率を雇用形態別にみたものである。
八二年、九二年、は、多くが独身とみられる。
大多数の女性が正社員として働いている。
九二年からO二年にかけて、二O代の女性のパ-ト・アルバイト比率が大幅に上昇している。
パートタイマーは既婚女性であるという図式が描けなくなっているのである。
いまの制度を維持して正社員を中心に、二一世紀の女性の能力活用をはかるのか、さまざまな雇用形態の労働者が、どのような形態で働いても、処遇や保障において差がない社会を作り、そのなかで、多様な労働者の能力を活用していくのか。
今後どのような社会を展望し、社会制度を変えるのかが、女性の能力活用を考えるうえでも重要になっている。
企業文化を変える女性の社会進出がふえるなかで、女性を活用している企業は、企業業績も上げているのだろうか。
「女性が活躍できる企業風土」があること。
たとえば、復職しやすい制度があり、勤続にお情ける男女差が少ない企業で、女性を活用することによって利益を上げていることがわかった。
第同時に経済産業省の研究では、仕事と育児の両立支援策は、直接利益には結びつかないという結乃果も出ている。
ということは両立支援策を実施してもそれほど効果がないということなのだろうか。
育児休業制度を導入しただけでは、企業の業績に直接結びつかない理由を、つぎのように説明する。
企業文化とは「組織の歴史に深く埋め込まれた価値、シンボルであり」、このなかには目に見え、意識されているものだけではなく、「無意識の、当然だと思う信条、認識、考え、感じ方」といったものが大きく影響している。
企業文化を変えるためには、実は、この無意識の価値観を表面に浮かび上がらせて、自分たちが当然だと考えていることをもう一度見直すという作業が必要になる。
たとえば、育児休業制度や男性の育児休暇取得を促進するためには、「育児は女性の仕事」という仮定や、「長時間労働をする社員は良い社員である」とか、「個人の生活よりも仕事を優先すべき」といった価値観に気づき、それを変えることが重要になる。
それができなければ、男性の育児休業取得率を上げ、女性が結婚や出産などの理由で離職するのを止めることはできないというのである。
企業文化を変えることは、女性の活用だけではなく、労働時聞を短縮し、ワ-クライフバランスを実現するためにも、重要になってきていることは前の章でもすでにのべた。
家族像が変化したために社会制度が時代にあわなくなってきたことを指摘した。
たとえ社会制度を変えても、社会全体の意識が変化しなくては、社会は変わらない。
また、変わることをわたしたちが、本当に必要であるとおもっているのかどうかということも重要になってくる。
ところで、企業文化を変えるとは一体どういうことなのだろうか。
組織の文化を変えることで、業績を一0年間で三倍にした企業がある。
アメリカに本社をもった大手会計事務所デロイト・トゥシュ社デロイト・トゥシユ祉の経験しごと・法律男女平等な労働環境をつくるために|日本、カナダ、ドイツ、アメリカの取り組み」と題するセミナーを聞いた。
その会議に参加するために来日したのが、デロイト・トゥシユ社アジこの会社が注目されるようになったのは、九三年四月に「女性の雇用維持と昇進のためのイニシから五九億三OOO万ドル(O二年会計年度)へ約三倍に伸ばしたからである。
また、従業員の満足度も高くなり、O二年一一月の社員を対象としたアンケート調査では専門職の八O%が友人に推薦したいと答え、八七%がデロイト・トゥシユ社で働いていることを他人に誇れると答えている。
会社が社内の意識改革に踏み切るきっかけになったのは、八八年に実施された顧客満足度調査の結果だったという。
その調査結果は多くの顧客がサービスに不満を抱いていることが示されていたのだ。
その理由は「担当者」が頻繁に変わることにあった。
転職者の多くは女性従業員で、その数は男性の二倍に及んでいた。
追跡調査をしてみると、彼女たちは結婚や出産のために職場を去ったのではなく、同業他社に転職していることがわかった。
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